ルーキー賞

ミルクの束縛

ミルクの束縛

古谷乳業株式会社

【審査部門】
ルーキー部門

https://furuya-milk.co.jp/commodity/others/commodity-3454/

【 選考理由 】

「ミルクへのこだわりを“束縛”としたのが秀逸。飲んだ人がこの美味しさに束縛されてしまう事もイメージできる」「相反する言葉の組み合わせが刺激的」「ハードルが上がるネーミングだが、中身に自信があるからできるのだろう。飲んでみたい」「味わいに対して、想像力を喚起するとてもいいネーミング」など、沢山の好評コメントがありました。またネガティブに捉えられがちな言葉の上手い使い方であり、生成AIでは考えつきにくい“人”ならではのチャレンジングな狙いを感じるという点も支持・評価された大きな理由となりました。
日本ネーミング協会は「ネーミングは、どんな広告やプロモーション活動より雄弁になれることがある」と考えます。その意味において「ミルクの束縛」はユーザー視点で商品の魅力を表現した優れたネーミングとして賞賛すべきと評されました。

【 商品・サービス・団体の特徴及びコンセプト 】

生乳を75%使用し、原材料は「生乳・珈琲・砂糖」のみ。ミルクの本来のコクと香りを最大限に生かした、“ミルクが主役”のミルクコーヒーです。開発の出発点は、近年の飼料高騰・円安などで苦境に立つ酪農家の声。「おいしい生乳の価値を、まっすぐ消費者に届けたい」という想いから生まれました。広告費を一切かけず、店頭で最も読まれるパッケージを広告媒体に見立て、全面にメッセージを記載。写真を一切使わず、文字の力で体験を設計することで、消費者に生乳の豊かさを“理解ではなく体感”させることを目指しました。本当においしい牛乳が報われる構造で、酪農と消費をつなぐ橋渡し役を目指しました。

【 ネーミングの由来 】

試飲したクリエイターが「これを飲んでから、ほかのミルクコーヒーでは満足できなくなった」と体験が出発点。無意識に原材料欄を確認するようになった『行動の変化』をヒントに、「ミルクの束縛」と名付けました。生乳の濃厚さに束縛されているような抗えない魅力を、比喩を使って表現。単なる原材料名や味の形容ではなく、飲んだ後の感情をネーミングにしたことで、言葉そのものが体験を語る構造になっています。強い言葉ながらも、「甘い誘惑」と「優しい執着」のような二面性を持ち、SNS上では「束縛された」など共感を呼ぶコメントも多く見られました。飲んだ人の“心の余韻”をそのまま商品名に封じ込めています。

【 受賞コメント 】

この度は、ネーミングアワードのルーキー賞という素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。実はこの名前、決まるまでに難航しまして……。かなりの数の候補が出ていたんです。 中には「純ミルクコーヒー」とか「頂ミルクコーヒー」なんて案もありましたが業界のルールで使用することができませんでした。そこで、生乳を75%使っていることをそのまま伝えた「生乳75%ミルクコーヒー」という名前も出ていました。それでも諦めずに、何度も何度もネーミングを練り直して、パッケージの入稿ギリギリのタイミングで出てきたのが、この『ミルクの束縛』という名前でした。この名前でいくと決めたからこそ、結果としてSNSでも話題にしていただけましたし、多くの方に手に取ってもらえることにつながったのだと思っています。 名前というものは、商品の運命を変えるくらい魅力的なものだと改めて感じました。これからも、最後まで諦めずに考え抜くことを大切にしていきたいです。

【 ネーミングを作った人の名前・チーム名など 】

コピーライター:面白法人カヤック 合田ピエール陽太郎
アートディレクター:原元光章プロデューサー:田路真也
PRディレクター:梶陽子
統括プロデューサー:金谷敏

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