【 選考理由 】
「シャボン玉石けん」におかれましては、最終審査会において「シャボン玉+石けんというシンプルなネーミングは、10年、100年先、今以上に評価されるネーミング」「いたって平易な名前だからこそ愛されつづけている」「新しい価値があえて今の時代で(このネーミングに)生まれてきている」など沢山の好評コメントがありました。また50年近く無添加で商品作りを続けてきた、せっけん業への信念がネーミングに込められている点も支持・評価された理由となりました。日本ネーミング協会は「ネーミングは商品マーケティングに貢献するだけでなく、企業の意志や信念を体現し、産業を発展させていく力につながっていく力がある」と考えます。その意味でも「しゃぼん玉石けん」は改めて「ネーミングの重要性」を広く社会に発信できるものとして2022年に賞賛すべきネーミングと評されました。
【 商品・サービス・団体の特徴及びコンセプト 】
シャボン玉石けんは福岡県北九州市で無添加石けんを中心に化粧品・日用品の製造販売を行う会社です。1910年に雑貨商として創業し、1960年代には自動洗濯機の普及に伴い合成洗剤を取り扱っていました。しかし先代社長が長年悩まされていた湿疹が自身が売る合成洗剤によるものだったと知り一大決心。
1974年に無添加石けんの製造販売へと切り替え、今のシャボン玉石けんが誕生しました。
CMソングの「青いお空がほしいのね~」のフレーズは北九州市で深刻化した公害に対し最初に立ち上がった婦人会のキャッチコピーから発想を得ています。公害を克服した環境未来都市・北九州市の企業として人と自然にやさしい製品をお届けしています。
【 ネーミングの由来 】
『シャボン玉石けん』は1974年、環境問題にいち早く目を向け、合成洗剤から無添加石けんの製造販売に舵を切った先代社長・森田光德が名付けた社名です。高度経済成長期を経て技術革新を見せる当時、便利なモノが注目される時代に逆らうように発売した無添加石けんは見向きもされませんでした。そんな中、消費者の琴線に触れる良いネーミングがないかと頭を抱えた光德が湯舟でふと口ずさんだロス・プリモスの「ラブユー東京」が閃きを呼びます。美しく輝く虹色、いつ消えるかもしれない不安定さ、あやしくも美しい曲線。世代を超えて魅了するシャボン玉のように愛される会社に、そして人々の健康と住み良い地球環境のために飛ばした夢を空高く舞い上がるまでしっかりと見届けるという光德の「石けん業」への強い信念が込められています。
【 受賞コメント 】
『シャボン玉石けん』の社名は先代社長・森田光德がネーミングに頭を抱える中、好きなお酒を一杯ひっかけてお風呂に浸かり、ふと息を抜いた瞬間に生まれました。中国の言葉で「三多三上」という、良い文章を書くためには多くを読み、作り、推敲すること、そして馬、枕、厠の上が閃きに最適な場所という言い伝えがあります。「シャボン玉石けん」を閃いた光德はこれに湯舟の中とほろ酔いの中を加え「三多三上二中」とアレンジし、様々なアイデアを生み出してきました。アイデアは企画者の熱い想いと様々なインプットのもと思考を巡らせ、ふと息を抜いた時に生まれるものも多く、そこに発想の面白さ、楽しさがあると思います。この度は、数々のネーミングの中からシャボン玉石けんの社名が栄えある賞をいただき、大変光栄です。社員一同、喜んでおります。今後も光德の想いを胸に、企業理念である「健康な体ときれいな水を守る。」の実現に努めて参ります。
【 ネーミングを作った人の名前・チーム名など 】
シャボン玉石けん先代社長・森田光德