【 選考理由 】
「クロマグロの完全養殖達成というニュース性や研究成果だけでなく、大学の精神の実体をそのままネーミングにした。ストレートな訴求で圧倒した感がある」「そのままのネーミングだが、代案が思いつかない強さがある」「大学名をブランド化した功績は大きい」「大変強いネーミングで浸透している。珍しさや希少性を名前がうまく演出している」「語感がよい。近大のK(き)とマグロのG(グ)のように「K」と「G」の音が組み合わさると「輝き(KaGayaki)」につながり素敵な音感と脳が感じる。偶然とはいえ語感的にも素晴らしい」など、沢山の好評コメントがありました。日本ネーミング協会は「ネーミングはマーケティングの成功に寄与するだけでなく、生活文化や地域社会を活性化させる力がある」と考えます。「近大マグロ」は研究成果を自校の建学精神「実学教育」の象徴としてネーミング化し、浸透させた好例であり「ネーミングの価値」を広く社会に発信できるネーミングとして賞賛すべきと評されました。
【 商品・サービス・団体の特徴及びコンセプト 】
近畿大学は、「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神として掲げ、医学から芸術まで15学部49学科を擁する西日本最大の私立総合大学です。本学の水産研究の歴史は、創設者の世耕弘一が海を畑と捉え、「海を耕せ」の言葉を理念に掲げて、魚の養殖を試みたところから始まりました。ここでは、研究資金を自分たちで稼ぐといった自助独立の気風があり、世界初のクロマグロの完全養殖も、国からの研究費に頼らず、先に完全養殖に成功したマダイなどの養殖用稚魚販売での収益を土台に実現させました。そうした歴史があるため、本学にとって「近大マグロ」とは、研究成果だけではなく、自分たちの根幹にある建学の精神「実学教育」のシンボルとなっています。”
【 ネーミングの由来 】
1990年代、クロマグロの完全養殖を達成する前の市場では、近畿大学で養殖した天然由来のマグロは「近大のマグロ」と呼ばれていました。2002年のクロマグロ完全養殖達成、2004年の完全養殖個体の発売を機に、近畿大学水産研究所が世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロであることが伝わるよう、大学名を冠せた「近大マグロ」という名前で、2005年に商標を出願しました。
【 受賞コメント 】
このたびは、「近大マグロ」を、地域ソウルブランド賞に選んでいただき、大変光栄に存じます。「近大マグロ」は、近畿大学水産研究所が32年もの年月をかけ、2002年に世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロです。近畿大学を代表する研究成果であるとともに、建学の精神である「実学教育」を象徴するキラーコンテンツ、本学にとっては「宝物」のような存在です。近大マグロをはじめとする、安心・安全で美味しい養殖魚を提供する養殖魚専門料理店では、「養殖魚の価値の転換」という目標を掲げ、持続可能な養殖魚の重要性を打ち出してまいりました。これからも「実学教育」をもとにした質の高い研究を実践し、その成果を社会に還元することを目指してまいります。