【 選考理由 】
「ワンカップは言いやすく、ワンの語感が瓶の手ごたえ、カップの語感がアルミキャップをぱっかん!と開ける感じと呼応して優秀」「日本酒の概念を変えた商品。このネーミングは“カップ入り日本酒”の代名詞になるほど定着した」「プロダクトとネーミングがしっかり連動している。分かりやすく、親しみやすさもある」「日本酒という概念から英語でワンカップというネーミングは斬新だったと思う。ワンカップという商品があったからこそ、このパッケージで追随する商品が生まれた」「非常に流通している素晴らしいネーミング」など沢山の好評コメントがありました。また「あの時代に、日本酒にワンカップという名前をつけたセンスの良さと今も全く古びた感じがしない普遍性あるネーミングであることも支持・評価された理由となりました。
日本ネーミング協会は「ネーミングは商品の売上に貢献することはもとより、生活文化を豊かにしていく力がある」と考えます。その意味でも「OneCUP」は「日本酒」の新しい楽しみ方を人々の暮らしに定着させたネーミングであり、賞賛すべきネーミングと評されました。
【 商品・サービス・団体の特徴及びコンセプト 】
大関株式会社は、1711年に創醸し、業界のパイオニアとして数々の「初」を実現してきました。
常に新しいことに挑戦する「魁(さきがけ)」の精神を持ち、人々の「楽しい暮らし」のあり方を日々提案し続けています。その代表的な商品が『ワンカップ大関』です。日本酒をもっと手軽に楽しむため、「コップに直接日本酒を入れる」という革新的なスタイルを採用し、従来の一升瓶文化を変えました。この発想は十代目社長・長部文治郎が「メーカーの顔が見える容器」を考案したことから始まりました。こうして誕生した『ワンカップ大関』は、発売以来半世紀以上にわたりロングセラーとして愛され、日本酒の新しい楽しみ方を広げています。
【 ネーミングの由来 】
当時、日本酒は一升瓶で提供されるのが一般的で、ネーミングも日本語表記が主流でした。
しかし、『ワンカップ大関』はコップ入りの日本酒という革新的なスタイルを打ち出す商品であったため、ネーミングも従来の枠にとらわれない発想が必要とされ、商品開発の最終段階まで議論が続きました。そんな中、十代目社長・長部文治郎の次男である二郎が、英会話の練習中にイギリス人講師の「One cup of tea」という言葉に着想を得ました。二郎が考案した『One CUP』というネーミングは、響きのスマートさと親しみやすさが評価され、正式に採用されました。
【 受賞コメント 】
このたび『One CUP』が日本ネーミング大賞において優秀賞を受賞できましたこと、大変光栄に存じます。長年にわたりご愛顧いただいている皆さま、そして主催者の皆さまに心より感謝申し上げます。
『One CUP』は、「日本酒をもっと手軽に楽しんでもらいたい」という思いから1964年に発売し、2024年に60周年を迎えました。時代を先駆ける『魁(さきがけ)』の精神で、業界のさまざまな「初」に挑戦してきた大関の代表商品です。『One CUP』というネーミングは、ほんの小さなきっかけから生まれましたが、今日に至るまで皆さまに愛され続けてきたことを心より嬉しく思います。
今回の受賞を励みに、これからもより多くの方に日本酒の魅力をお届けできるよう努めてまいります。

